国連人権理事会UPRに関するETAC声明

国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)に関するETAC声明:
中国は病院の報告書に記されている大量の移植件数の釈明をすべき
 

国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)とは?(英語)
各国からの中国への質問1(英語)
各国からの中国への質問2(英語)

 

ETACの声明

中国は、国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)で、病院の報告書から算出された年間最高10万件という(2016年の公式発表の13,236件を遥かに上回る)大量の移植件数の釈明をすべきである。

 

調査者デービッド・マタス、デービッド・キルガー、イーサン・ガットマンは、臓器源を良心の囚人と見定めた。チベット人、ウイグル人、家庭教会の信徒、主要な犠牲者である精神修養法・法輪功の修煉者を指す。下記を参照のこと。

中国の隠蔽された臓器移植産業に関する調査報告書(英語)
臓器提供と臓器移植に関する国際データ(英語)(訳注:Chinaを選定し、年を選定するとデータがでてきます)

 

欧州議会、カナダ下院の外交・国際開発委員会の国際人権に関する小委員会は、良心の囚人を臓器源としているという報告書を「継続的で信頼がおける」としている。下記を参照のこと。

中国での臓器収奪に関する欧州決議案(日本語訳)
SDIR委員会会合記録(英語)

 

拷問に関する国連報告官と拷問に関する国連委員会は、認定可能な臓器源の数と移植件数との格差を説明するよう、中国に要求している。下記を参照のこと。

拷問その他の残酷、非人道的、品位を汚す扱い・懲罰に関する特別報告官の報告書: Manfred Nowak(英語)
宗教、信念の自由に関する特別報告官の報告書:Asma Jahangir(英語)
拷問に反対する委員会による総括所見(6ヶ国語)
中国に関する第5回定期報告書の総括所見(6ヶ国語)

 

欧州議会、拷問に関する国連委員会、米国下院議会は、中国での臓器移植濫用に関する信頼のおける透明性のある独立調査に中国政府が協力することを要求している。下記を参照のこと

米下院決議案343号(日本語訳)

 

「中国は、監獄や拘束設備での臓器収奪に関する疑惑にどのように反応するか?これらの疑惑を解消するために、年間の臓器移植件数と合法的な臓器源に関するデータを提出することができるか?」下記を参照のこと。

人権委員会決議案16/21の付記・第5段落に準じて提出された国別の報告書(英語)

 

中国政府は良心の囚人からの臓器収奪は否定し、死刑囚の臓器源は停止され、中国政府は全ての移植用臓器は臓器提供によるものであると主張している。

臓器源は自主的提供であると中国政府は主張するが、臓器提供センターの提供数と、患者間の調整なしで事前予約された移植手術の件数とは符合しない。中国政府の統計による移植件数は、個々の病院での移植件数を統合した数値に符合しない。ドイツからの質問に中国が納得のいく回答が出せない場合、もしくは中国が質問に答えない場合、各国はこの問題を追求し続けるべきである。

中国を対象としたUPR参加国すべては、中国での臓器移植濫用に関する、信頼のおける不穏な証拠が継続的に出ていることを主張すべきである。同時に、この証拠に取組む独立した国際調査に中国が協力する必要性があることを主張すべきだ。

詳細はデービッド・マタスdmatas@mts.net へ。

(11月3日にETACが発表したプレスリリース)

英語原文

 

人体の展示 ― 誰の遺体かにこだわるべきか?

生命倫理・先端技術に関するブログ
 人体の展示 ― 誰の遺体かにこだわるべきか?
(このブログには読者に不快な気持ちを与える内容・画像へのリンクが含まれています)
トレヴォー・スタマーズ
 

今年(2018年)初め、バーミンガムのNECで行われたReal Bodies展は数千人の来館があった。同じくプラスティネーション(樹脂化)された死体だが、ライバルのコレクションとされるBody Worlds展が、先月(9月)、ロンドンで常設された。

Imagine Exhibitionsのウェブサイトでは、Real Bodies展を「自分を探索し自分がどこから来たのかを自問する旅に誘う」と謳い上げているが、これらの人体がどこから来たかを来館者に問われることにはあまり乗り気ではないようだ。最近、私は、英国議会内で開かれた会合で、人体の多くは中国からのもので、拷問された可能性のある良心の囚人の遺体が合意なく樹脂化された可能性があるということを耳にした。

オンラインでこれらの展示をリサーチしながら「中国」という言葉を加えると、公式サイトで提示されている内容とは全く異なるものが現れてくる。Body Worldsを設立したグンター・フォン・ハーゲンス教授は、2004年に、自分の展示に使われている人体が中国の処刑された囚人(訳注:左記リンクを読むには英ガーディアン紙の購読が必要)から来た可能性があることを認め、7体を埋葬のために中国に返還している。フォン・ハーゲンス教授のプラスティネーション用の人体加工工場は大連にあり、その近くには中国の政治犯の収容所が3軒ある。政治犯の多くは中国で禁止されている法輪功のメンバーである。Body Worlds展に似た展示はフランス、イスラエル、チェコ共和国で禁止された。

2008年、ニューヨークでの訴訟を受け、Bodies展は最終的に以下の免責声明を発表することを余儀なくされた。「中国の市民もしくは居住者の遺体を展示しています。もともと、中国の警察が受け取ったものであり、中国の警察は中国の監獄から遺体を受け取った可能性があります」ニューヨークでの展示の事例に関してスポークスパーソンを務めたトム・ザラー氏は、最近のバーミンガムでのRealBodies展の背後の会社の社長である。神経科医が、中国の囚人の遺体が用いられている疑惑を懸念する苦情をバーミンガムの検死官に提出したことを受けて、ザラー氏は以下のように述べたと報道されている。「私どもの展示内の標本は全て、引き取り手のいない遺体です。引き取り手のいない遺体とは、警察が親族を認定もしくは探し当てることができなかったものを指します。」(BBCニュースの記事を参照されたい)

遺体を公共の展示に利用することへの合意の欠如と、医科大学への遺体の提供源が収容所に近いことからだけでは、現在、英国で中国人の囚人の遺体が展示されている証拠にはならない。しかし、疑問は解消されていない。良心の囚人の樹脂化された遺体を入場料を払って観ているのではないと、一般が確信できない限り、このような展示を「楽しむ」価値は薄れてしまう。「なんでこだわるの?すでに死んでいるのだから死者は苦しまないでしょう」という見解もあるかもしれない。しかし、死者も不当に扱われる。合意のあった成人からでなく処刑された反体制派の遺体を展示することは、少なくともこの倫理学者にとってはひどく間違ったことに思える。

英語原文

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トレヴォー・スタマーズ博士:
  セントメアリー大学(英国ロンドン、トゥイッケナム)倫理プログラム担当理事
  The New Bioethics編集者

 

BBCWorld Serviceでのラジオ放送(要約)

2018年10月、BBCWorldのImpactで2回、BBCラジオで2回にわたり、中国の臓器移植に関する特集がありました。ラジオ放送は下記のリンクから聞いていただけます。2回に分けての放送で、各26分。テレビ放送より濃い内容でした。 2018年10月15日と10月22日に報道されたBBC ラジオ番組は下記の通りです。 https://www.bbc.co.uk/programmes/w3csxyl3 誰を信じる?(Who To Believe) 中国の臓器移植(China’s Organ Transplants) https://www.bbc.co.uk/programmes/w3csxyl4 移植ツーリズムと透明性(Tourism and Transparency) 中国の臓器移植(China’s Organ Transplants)   マシュー・ヒル記者が臓器移植への中国式アプローチを探索 ―――――――― 下記に日本語で内容を大まかにまとめました。 あくまで参考のためですので、英語放送で確認をとってから引用してください。 ーーーーーーーー 2018年10月15日放送 https://www.bbc.co.uk/programmes/w3csxyl3 誰を信じる?(Who To Believe)   ・エンバー・トフティ(元中国―ウイグル―の外科医):1995年にまだ息のある囚人から臓器を摘出したときの証言。 ・アニー・ヤング:友人医師が1985年に臓器を摘出したと証言 ・匿名の元中国の医師:処刑者の頭は撃ち抜かず右胸を撃ち、死なせないで臓器を摘出する話はプライベートに交わされていた。 [ナレーション:2015年、中国は囚人からの臓器摘出を停止したと発表] ・ジェイコブ・ラヴィー(イスラエルの心臓移植医):2005年に自分の患者が中国で決められた日時に心臓移植をした。当時、保険が移植ツーリズムを支えていた。2008年にイスラエルは移植ツーリズムを禁じる法律を導入。 [ナレーション:公式発表の移植件数と実際の移植件数には10倍の開きがあると調査者は批判] 臓器源は? [ナレーション:1999年 法輪功の迫害が始まる。中国の気功と瞑想から成り、中国で人気を集めた。 国家の管理制度下にはなく、人数が多くなり(1億人)、中国政府が危惧。多くは労働教養所に入れられ、2〜3年もしくは転向するまで投獄される。禁酒・禁煙のため、法輪功をやっている者は、国家にとって容易に臓器が摘出できるターゲットとなった。法輪功だけでなく、ウイグル、一部のキリスト教徒も犠牲になっている] ・イーサン・ガットマン:「国家の敵」を消滅させることが目的。 ・ウェンディー・ロジャーズ(オーストラリア、マクアリー大学教授):自分の調査で「良心の囚人」から臓器を収奪していることが判明。死刑囚とは全く違う。 ・デービッド・マタス:電話のおとり調査で、病院が法輪功臓器の使用を認めている。待ち時間の短さ。 証拠は? ・アニー・ヤング(中国人の元拘束者・法輪功・ロンドン在住):労働教養所の近くの病院で3ヶ月ごとに血液、目、臓器の検査を受けた。海外との接触があったので体には触れないで精神的な拷問を受けた。 ・ハイ・カンリウ(67歳・中国人の元拘束者・法輪功・トロント在住):3ヶ月後、病院に連れられた。瓶2本分の血液がとれらた。 ・マンフレッド・ノーヴァク:(ウィーン大学教授 国際法・人権) 2004〜2010年、拷問に関する国連特別報告官 。2005年、中国視察。拘束中のアニー・ヤングの釈放を中国政府に陳情し、アニーと接触。 [ナレーション:国際社会に知られる拘束者は臓器をとられないが、無名の法輪功は?] 懐疑的な意見: ・ジェラミー・チャップマン:(国際移植学会の元会長)中国の病院を視察。臓器のための殺害という話は信じ固い。事実を証明するためには中国側の透明性が必要。   結論:良心の囚人が犠牲者である明確な証拠はないが、否定する証拠もない しかし… 100万人のウイグル人が拘束。労働教養所に送還されている。12歳から65歳のウイグル人のDNA,血液検査、瞳のスキャンが採集された。臓器ドナーの備蓄か?法輪功に起こったパターンが繰り返されている。…

中国での臓器収奪を調査する独立裁判が設立

中国での良心の囚人(無実の人々)からの強制臓器収奪を審問する独立裁判が、中国での臓器移植濫用停止(ETAC)の委託で設立した。

「独立裁判」は、中国国家または国家認定機関による強制臓器収奪に関する犯罪行為が行われたかを調査する。

ETACの常任取締役スージー・ヒューは次のように述べる。

「独立裁判は、公式の国際機関が進んで調査しないか、できない状況の、深刻な犯罪を裁くためによく行われます。生存者や犠牲者の家族・友人にとっての裁定となります」

同裁判は、勅撰弁護士ジェフリー・ニース卿が司る7名の独立したメンバーから形成され、日程を定めた公聴会をロンドンで開催する。

2018年の12月10日の国際人権デーを最終日とする3日間にわたる公聴会では、30名の証言者と専門家の証拠が提示される。その後も必要に応じて開廷。

ETAC顧問委員会委員長のウェンディー・ロジャーズ教授は下記のように述べている。

「この異例な規模の犯罪疑惑に国際社会が取り組むには、法律に照らした確固たる分析が求められます。裁判を通して、このような分析と、中国での強制臓器収奪の透明性のある永続的な証拠に基づく記録が提示されます。国際機関の立ち入りを余儀なくされる貴重な資料も提示されることでしょう」

China Tribunal(ホームページ 英語です)

 

 

カナダ上院、臓器収奪と臓器売買を撲滅する法案を通過

2018年10月25日、ガーネット・ジーニアス議員がサルマ・アタウラジャン(Ataullahjan)上院議員と記者会見を開き、S-240法案が多党派合意による満場一致で上院を通過したと報告。国外での臓器収奪と臓器売買に関して新たな犯罪を設ける法案で、(おぞましい犯罪の犠牲となってきた法輪功学習者など)民族・宗教の少数派を保護することとなる。現在この法案は、ジーニアス議員がスポンサーとなり、下院議員に提出している。カナダ政府によるこの法案に対する立場声明の発表が待たれているが、ジーニアス議員は「政府が正しく行動し、法案を支持すると期待している」と述べた。

記者会見のビデオを見る(英語)

中国「臓器移植の闇」 海外からの移植ツーリズムが激増する中、 死刑囚からの臓器摘出疑惑くすぶる

BBCの報道、米連邦議会・行政府委員会の年次報告、10月に英国議会内で行われた中国臓器移植に関する報告会、2018年の報告書に言及しながら、中国臓器移植の闇を指摘するロンドン在住ジャーナリスト木村正人氏の記事。

「真相は文字通り「闇」の中で、決定打となる直接証拠はない。しかし限りなく「黒」に近い間接証拠は枚挙にいとまがない」

全文はこちらへ

http://blogos.com/article/334115/?p=1

 

木村正人:ロンドン在住。元米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。元慶応大学法科大学院非常勤講師(憲法)。元産経新聞記者。平成24年独立。ニューズウィーク日本版(欧州インサイドReport)などに寄稿。

冷徹な大量虐殺:中国での法輪功(学術誌の掲載論文)

冷徹な大量虐殺:中国での法輪功
(学術誌の掲載論文)
 

『ジェノサイドの研究と阻止:国際ジャーナル(GSP)』に2018年に掲載された論文。GSPはジェノサイド研究学者国際協会(IAGS: The International Association of Genocide Scholars)の公式学術誌。

 

要約

法輪功撲滅運動における冷徹な大量虐殺のパターンを模索する論文。法輪功は1999年以来、中国政府が撲滅の対象にしてきた精神修養方法。記録されてきた大量虐殺の事例と比較すると、法輪功の大虐殺は、事実上、無視されてきた点で異例である。同論文は、ソーシャルワーク、医療、法律を包括する学際的な視点から、この隠蔽されたジェノサイドの多角的な性格を明確にしようと探っている。特に、法輪功撲滅運動は下記の三点から、冷徹な大量虐殺として他とは異なることを示している。

(1) 多角的:法輪功学習者を、肉体のみならず、心理的、社会的、精神的に破滅させる
(2) 不可視という点で狡猾
(3) 撲滅運動の行われている社会で通常化

これらの不可視で物理的でない要素が相互に作用し、法輪功学習者を対象とした勢力のある陰湿で極端な「冷徹な大虐殺」が生み出されている。また、これらの要素が相互に作用しているため、この大虐殺は今日のジェノサイド研究で過少評価されている。

 

全文を読む/ダウンロードする(英文)

 

著者:

カナダ・マニトバ州ウィニペグ、マニトバ大学
マリア・チューン

米ワシントンDC、強制臓器摘出に反対する医師団(DAFOH)
トルステン・トレイ

カナダ・マニトバ州ウィニペグ、マニトバ大学
デービッド・マタス

カナダ・オンタリオ州トロント、ヨーク大学
リチャード・アン

2018年報告書のプレスリリース

新報告書: 中国での移植濫用 ―まやかしの改革
 

ニューヨーク発:中国政府が改革を主張する中、良心の囚人からの大規模な臓器収奪など、過酷な移植濫用は現在も続行中。中国臓器収奪リサーチセンターによる7月2日発表の新たな調査が裏付ける。

 

新報告書は、世界中の移植専門医が2年に1度、一堂に集う国際移植会議(TTS 2018)の場で発表。

 

報告書によると「中国は、他国が数十年かけて構築した自主的臓器提供の枠組みを、わずか数年で可能にしたと断言する。中国政府発表の数字では、臓器の自主的提供が移植臓器源全体に占める割合は2013年の23%から2014年には80%へと飛躍し、2015年には自主的提供が単独の臓器源となったことを示している。わずか1~2年で100%の転換をはかることはありえない」。オンデマンドで行われる移植手術の証拠やデータ改ざんなども鑑み、多くの臓器は、良心の囚人など、自主的な臓器提供者以外から摘出されていると著者らは帰結する。

 

342ページに及ぶ報告書では、数百軒の移植病院、政府・業界の声明、公式政策・法規、様々な地域での実際の自主的臓器提供者数、脳死判定基準の濫用、中国国内の臓器提供・移植制度の広域な運用を分析。「人権弁護士デービッド・マタス氏、元カナダ国務大臣(アジア太平洋担当)であり元国会議員のデービッド・キルガー氏、調査ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏による2016年6月に発表された報告書以降の新たな証拠を浮き彫りにする」と同報告書の共著者ヒュイグ・リ博士(マインツ大学医療センター)は語る。

 

新報告書の主要点は下記の通り:

 

自主的臓器提供を上回る臓器移植件数:自主的臓器提供者数は、移植産業の規模と比較して、これまで同様、極めて低い状況にある。2017年末の時点で、公式の臓器提供登録者数は373,536人であった。登録者数に対する提供者数の米国での比率をあてはめると、中国の臓器提供者数は29名未満となる。各地域の臓器提供者数(主に集中治療室での非登録者からの臓器)を合計しても、中国が公表する年間1万5千件の移植手術をとうてい満たさない。さらに、中国の病院では毎年、この公表値を遥かに上回る数万件の移植手術が行われている。

 

今も続く渡航患者へのオンデマンドによる移植手術:国外の者に対して移植は行わないという中国の公式声明が、最近の調査で虚偽と判明した。2017年10月、韓国の主要テレビ局の記者により、現在もアジアと中東の患者が中国最大手の移植センターに群れをなして渡航していることが明らかにされた。待ち時間が数日か数週間で、病院に金銭的な「寄付」をすれば手術の日が早まると患者が言われたことを報道している。

 

改革声明に追いつかない規定の整備:中国の臓器提供制度および規定の枠組みは、いまだに未熟な段階で、オンデマンドで行われる中国の移植件数を支援することは不可能だ。自主的臓器提供制度を監視する機関は抜け殻状態であり、ほとんどの臓器は、国際社会で中国がしばしば提示している中国臓器提供割当制度から来るものではない。

 

別の臓器源は現在も必要:中国での移植件数は自主的提供による臓器源だけでは支えられない。さらに近年、犯罪者の処刑が縮小したと専門家は認識していることも鑑みて、ほとんどの臓器が別の源から来ていることは否めない。多くの証拠から、これらの臓器は法で裁かれることなく殺害されている良心の囚人から摘出されたものであることが示唆される。今も最大の臓器源は法輪功学習者からのものであると思われる。彼らは系統的に投獄され拷問を受け、強制的に血液検査やその他の臓器の機能に関する医療検査を受けている。最近では新疆ウイグル自治区で大規模な拘束と医療検査が行われており、ウイグル人を対象として強制臓器摘出の可能性を高めている。

 

アーサー・L・キャプラン教授(ニューヨーク大学医療科医療倫理部門長)は同報告書の「まえがき」で次のように述べている。「この丹念に裏付けられた傑出した報告書が示すとおり、中国では今なお、人権侵害を許し、自国の民族をぞんざいに扱い、移植臓器獲得のための殺人が許されている。…世界の移植医のコミュニティーと政府が読むべき報告書である」

 

中国によるPRキャンペーン、信憑性の低いデータ、攻略的なビジョン、移植センターの公開、国際フォーラムでのプレゼンテーションを通して、一部の国際的な移植機関は中国の偽りの改革を受け入れてしまっている事実を同報告書は指摘する。「中国政府による改革声明を額面どおり受け入れることの問題性を、我々の調査は裏付ける。この報告書をきっかけに、国際機関による中国の移植産業への関わりを再査定することになるよう望む」と同報告書の著者 兼 リード・リサーチャーのグレース・イン氏は語る。

 

「アジアの別の地域、一帯一路地域、さらに世界へと臓器を受け入れる合意を広げていくことで、中国政府は国際社会をこの犯罪に巻き込む可能性をはらんでいる」と報告書の著者たちは警告している。

 

2018年報告(英語原文):https://www.chinaorganharvest.org/app/uploads/2018/06/COHRC-2018-Report.pdf

 

詳細はDavid Li:david.li@chinaorganharvest.org または713-410-2705まで。

 

中国臓器収奪リサーチセンター(COHRC)は非営利団体として、臓器のために良心の囚人を殺害することを含む、中国での臓器移植濫用に関して、権威ある調査・提示を行っている。中国および中国外の幅広い情報源からの証拠の収集・分析にあたる。報告書の発表、政府機関や非政府機関へのアドバイスに加え、米国内の医療関連の会議で調査結果を発表。主要な調査者らは、リサーチセンター設立以前から、中国の臓器移植制度の研究に10年以上取り組んでおり、CNN、ニューヨーク・タイムズ、PBS、グローブ&メール、ロンドン・タイムズの記事で言及された報告書にも貢献している。

中国への“移植ツーリズム”禁止を ―「良心の囚人」らから臓器を摘出 ―

Medical Journalist NPO日本医学ジャーナリスト協会会報 2018年4月 Vol.33 No.1 (通巻83号) 発行:NPO日本医学ジャーナリスト協会 発行代表人:水巻中正   ●コラム 中国への“移植ツーリズム”禁止を ―「良心の囚人」らから臓器を摘出 ― 日比野守男   「中国における臓器移植を考える会」=SMG(Stop Medical Genocide)ネットワーク=から2017年末、医学ジャーナリスト協会事務局を通じ、発足式の案内が届いた。式は18年1月23日、参議院会館で開かれた。関東地方は前日、4年ぶりの大雪に見舞われ、足元が悪いせいか、参加した協会員は筆者だけだった。    中国では死刑囚に続き「良心の囚人」(言論や思想、宗教、人種などを理由に不当に逮捕された人々)からも本人の意思を無視して移植用の臓器が摘出され、政府高官やその身内、日本人など裕福な外国人患者に優先的に移植されている―との疑惑が以前から指摘されてきた。    わが国では臓器提供に際して、本人の生前の意思表示を原則とするとともに、移植を受ける患者の順番が症状の重さに応じて厳密に決められる公的な登録システムが当たり前になっている。    だが、それと正反対のおぞましい臓器移植が隣国の中国では継続的に行われ、現在も続いているとされる。これに歯止めをかけようというのがSMGネットワークだ。    同会の代表を保守系外交評論家の加瀬英明氏が務めていることから、為にする中国批判との見方もあるが、これは違う。    中国における臓器移植の実態を日本に最初に紹介したのは、元岡山大学教授の粟屋剛氏である。粟屋氏は思想的な右、左とは無関係の生命倫理の研究者である。    最近はあまり会う機会がないが、年齢が近いこともあって以前から親しくし、何度も一献傾けた仲である。同氏は1990年代半ばから「中国における死刑囚からの臓器移植」の現地調査を行い、98年には米国連邦議会下院の公聴会で証言・意見陳述を行うほど、この問題に精通している。    「現地調査の前は、尾ひれ背びれがついたオーバーな噂、と思っていた」が、「実際に行くと噂どころかそれ以上だった」と以前、著者に語ったことがある。    同氏の調査をきっかけに中国の臓器移植問題は徐々に海外でも知られるようになったが、肝心の日本での動きは鈍かった。    昨年から発起人会を何度も開いてようやくこぎつけた「考える会」の発足会には有志の国会議員、地方議員のほか、中国で反体制派とされ迫害されているキリスト教徒の一派、イスラム系のウイグル人など少数民族出身者ら合わせて約90人が参加した。   さらに招待客として、中国の移植問題を10年間、調査してきたカナダのデービッド・キルガー元アジア太平洋担当大臣とデービッド・マタス国際人権弁護士、イスラエルのジェイコブ・ラヴィー心臓移植医の3人も加わり、それぞれの立場から中国での臓器移植の実態について報告した。    海外からのゲスト3人や「考える会」などの話を総合すると、最も懸念を生じさせるのは、中国が臓器提供者(ドナー)をどう確保しているかだ。中国は長い間秘匿していたが、05年には死刑囚からの臓器摘出を認め、15年には一応、死刑囚からの摘出の停止を宣言した。    中国が世界一の“死刑大国”としても、年間の執行数は数千人。公式発表の年間1万件の移植を行うにはドナーが足らない。本当に死刑囚から摘出をやめたなら、さらに足らなくなるはずだ。    マタス氏やキルガー氏の独自調査では実際の移植数は公式見解の数倍から10倍。06年には中国の病院に勤務していた女性の米国での証言から、法輪功の学習者からも臓器を摘出していたことが明らかになっている。    これらを踏まえ両氏は「死刑囚のほか中国政府が危険と見なす法輪功学習者、ウイグル人、チベット人など『良心の囚人』からも臓器を摘出している」と断定している。    中国は米国以上の移植大国なのに国際学術誌に移植関係の論文が載らないのはドナー情報を明らかにできないためと見られる。    中国では臓器移植がすでに営利追及のビジネスになり、海外から富裕な患者が押し寄せている。国別では日本、韓国の順で多いとされる。    一方、日本を含む65カ国が加盟する国際移植学会は08年5月「イスタンブール宣言」を採択。営利目的の“移植ツーリズム”を禁止、移植用臓器は自国で確保するよう求めている。「宣言」には法的拘束力はないが、08年から16年にかけてイスラエル、スペイン、台湾が法改正をし、臓器売買などが絡んだ不透明な渡航移植を禁止し、自国から中国への営利目的の“移植ツーリズム”を禁止した。    世界で初めて中国への渡航移植を禁じる法改正を主導してきたイスラエルのラヴィー氏は「日本も中国への“移植ツーリズム”を法で禁止すべきだ。そうしないと中国の『良心の囚人』が次々と被害者になる」と訴えた。    ところが中国への“移植ツーリズム”禁止について日本政府、国会は消極的だ。幸い「考える会」には多くの地方議員が参加、中国への渡航移植を法的に禁止するよう求めて活動を始めている。…