国連人権理事会UPRに関するETAC声明

国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)に関するETAC声明:
中国は病院の報告書に記されている大量の移植件数の釈明をすべき
 

国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)とは?(英語)
各国からの中国への質問1(英語)
各国からの中国への質問2(英語)

 

ETACの声明

中国は、国連人権理事会における普遍的・定期的レビュー(UPR)で、病院の報告書から算出された年間最高10万件という(2016年の公式発表の13,236件を遥かに上回る)大量の移植件数の釈明をすべきである。

 

調査者デービッド・マタス、デービッド・キルガー、イーサン・ガットマンは、臓器源を良心の囚人と見定めた。チベット人、ウイグル人、家庭教会の信徒、主要な犠牲者である精神修養法・法輪功の修煉者を指す。下記を参照のこと。

中国の隠蔽された臓器移植産業に関する調査報告書(英語)
臓器提供と臓器移植に関する国際データ(英語)(訳注:Chinaを選定し、年を選定するとデータがでてきます)

 

欧州議会、カナダ下院の外交・国際開発委員会の国際人権に関する小委員会は、良心の囚人を臓器源としているという報告書を「継続的で信頼がおける」としている。下記を参照のこと。

中国での臓器収奪に関する欧州決議案(日本語訳)
SDIR委員会会合記録(英語)

 

拷問に関する国連報告官と拷問に関する国連委員会は、認定可能な臓器源の数と移植件数との格差を説明するよう、中国に要求している。下記を参照のこと。

拷問その他の残酷、非人道的、品位を汚す扱い・懲罰に関する特別報告官の報告書: Manfred Nowak(英語)
宗教、信念の自由に関する特別報告官の報告書:Asma Jahangir(英語)
拷問に反対する委員会による総括所見(6ヶ国語)
中国に関する第5回定期報告書の総括所見(6ヶ国語)

 

欧州議会、拷問に関する国連委員会、米国下院議会は、中国での臓器移植濫用に関する信頼のおける透明性のある独立調査に中国政府が協力することを要求している。下記を参照のこと

米下院決議案343号(日本語訳)

 

「中国は、監獄や拘束設備での臓器収奪に関する疑惑にどのように反応するか?これらの疑惑を解消するために、年間の臓器移植件数と合法的な臓器源に関するデータを提出することができるか?」下記を参照のこと。

人権委員会決議案16/21の付記・第5段落に準じて提出された国別の報告書(英語)

 

中国政府は良心の囚人からの臓器収奪は否定し、死刑囚の臓器源は停止され、中国政府は全ての移植用臓器は臓器提供によるものであると主張している。

臓器源は自主的提供であると中国政府は主張するが、臓器提供センターの提供数と、患者間の調整なしで事前予約された移植手術の件数とは符合しない。中国政府の統計による移植件数は、個々の病院での移植件数を統合した数値に符合しない。ドイツからの質問に中国が納得のいく回答が出せない場合、もしくは中国が質問に答えない場合、各国はこの問題を追求し続けるべきである。

中国を対象としたUPR参加国すべては、中国での臓器移植濫用に関する、信頼のおける不穏な証拠が継続的に出ていることを主張すべきである。同時に、この証拠に取組む独立した国際調査に中国が協力する必要性があることを主張すべきだ。

詳細はデービッド・マタスdmatas@mts.net へ。

(11月3日にETACが発表したプレスリリース)

英語原文

 

人類史上最悪の「悪魔の所業」 中国の臓器狩りの実態を語る

そこが聞きたい! インタビュー 人類史上最悪の「悪魔の所業」 中国の臓器狩りの実態を語る   デービッド・マタス氏 中国の臓器移植問題を調査している国際弁護士(カナダ)     (2018年6月のデービッド・マタス氏の福岡訪問の際のインタビュー記事が、フォーNET 7月号のトップ記事となりました。)   本来、医療技術の発達は、人類の幸福のために研究されているものであるべきで、またそうであるべきだ―しかし、その人類の叡智を悪用し、中国では現在、年間6万から10万件の移植手術のために、「良心の囚人」の臓器が収奪されている、というショッキングな事実を我々はどう受け止めればいいのか。(平成三十年六月七日に福岡市で開かれた『ヒューマン・ハーベスト 中国の違法臓器収奪の実態』 主催・SNGネットワーク 上映会・報告会で来日したマタス氏にインタビューした)   「アニーの告発」   ―今回の来日の目的から聞かせてください。 マタス 「アジア研究」をテーマとした神戸市の国際学会IAFOR(インターナショナル・アカデミック・フォーラム)に参加するために来日しました。その学会では『法輪功への迫害における民族主義的な側面』について発表しました。この機会を利用して、私たちが調査発表している中国の臓器移植についてドキュメンタリーの上映会、報告会にも参加しています。私たちは現在、中国のこの非道な行為を止めたいと思います。そのためには、日本の国民にこの事実を広く知ってもらい、日本が中国に加担しないように働きかけてもらいたいと思います。   ―私は、人権意識が全くない中国で違法で非道な臓器移植が行われているようだという認識は持っていました。しかし、日本ではこのことはほとんど報道されていませんし、国会でも取上げられないので、ほとんどの日本国民は実態を知りません。 マタス 問題はかなりの日本人が臓器移植のために中国に渡航していることです。二〇〇六年に私たちが調査を発表して以来、中国当局は外国からの渡航者の数を発表することを止めました。また、日本では臓器移植のために海外に渡航した患者を国に告知する義務がないために、実際の患者数は把握できていません。しかし、調査の過程で、実際に移植で中国を訪れた他国の患者から「日本人の患者に会った」という証言を幾つも得ています。   ―2006年から、カナダの元国務大臣デービッド・キルガー氏と共に、中国の「良心の囚人」(無実の人々)を対象に臓器収奪が行われている問題についての調査発表を続けていますが、この活動を始めるきっかけは? マタス 元々私は国際弁護士として人権問題に取り組んでいて、当時は難民問題を扱っていました。そのような時に「NGO法輪功迫害調査追跡国際組織」から調査の依頼を受けたのが始まりです。私たちが調査に乗込んだきっかけは、中国の病院で夫が医師として働いていたという「アニー」と名乗った中国人女性が、ワシントンDCで衝撃的な証言を行ったことでした。彼女の夫は二年あまりのあいだに二千件ほどの角膜摘出手術を行い、そのたびに月給の何十倍もの現金が支給されていたといいます。角膜だけではありません。心臓、腎臓、肝臓、肺臓など目ぼしい臓器を抜かれて空洞同然となった法輪功学習者の遺体は、そのままボイラーに放り込まれてつぎつぎ焼却されていったと告発しました。彼女の告発を受けてNGOからアメリカの下院に働き掛けがあり、下院委員会できちんとした裏づけ調査がなければ動けないと言われ、私たちに依頼が来ました。   ―調査の方法は? マタス まずは中国で行われている違法な臓器移植が真実なのか、それとも嘘なのかを決定することでした。まず、それを実証する証拠を集めていきました。中国では臓器移植についての情報は厳重に秘匿されています。中国当局に収容され運よく国外に逃れられた法輪功の人々や中国に移植手術のために渡航した本人や家族、告発者にインタビューしました。この他、中国の統計、各病院のウェブサイトも参考にし、病床数、利用率、職員数、助成金・賞与金などの詳細な事項も調べました。もう一つの調査方法は、電話による抜き打ち取材です。約十ヵ月間にわたり、調査員が患者家族を装い、移植認可を受けた中国国内百六十九の病院に電話を掛け、病院の施設状況や手術内容を直接聞き出す方法です。  こうした調査によって、それぞれの情報の真偽を確認したのですが、虚偽を裏付ける証拠は一つもありませんでした。その結果、中国での違法な臓器移植は真実であると結論付けたのです。   人類史上最悪の虐殺   ―移植件数はどれくらいあるのですか? マタス 私たちが調査を始めた二〇〇六年当時、中国当局は死刑囚の臓器を使った移植件数を年間一万人と発表していました。しかし、その数字と実態が大きく乖離していることが分かっています。一九九九年以前の中国の移植病院は百五十軒、二〇〇六年に中国衛生部は新たに移植病院の認可制度を導入、千軒の病院が申請し、そのうち百六十九軒が移植手術病院として認可を受けました。我々がその病床数、稼働率から割り出した年間の移植手術件数は最低でも六万五千件から十万件になります。移植設備のあるこれらの国家認定レベルの病院は、稼働率が軒並み百%を超え、患者一人あたり一ヵ月を入院期間と想定すると、例えば病床数五百の天津第一中心病院では年間約八千件の手術が行われていることになります。このようにして調査していったところ、中国における臓器移植の実態は、中国政府による公式発表の実に六倍から十倍なのです。   ―移植手術を受けた日本人の数は把握しているのですか? マタス 私たちの調査前までの中国の発表では、移植のための海外からの渡航者は全体の二〇%という数字を出していましたが、今は公表していません。また、私たちが「良心の囚人」と呼んでいる収容されて臓器を抜かれている法輪功学習者などの存在は認めていません。日本からの渡航者を把握するためには、医療関係者から国家への告知の義務化が必要です。   ―中国の法輪功学習者が迫害を受けていることを中国の一般国民は知っていているのでしょうか? マタス まず、なぜ法輪功なのかから説明します。法輪功は心身を向上させる中国の伝統的な修煉方法で、中国政府は一九九〇年末までに七千万人の中国国民が修煉していると発表しました。共産党員を上回る数となったため、当時の江沢民国家主席が、法輪功学習者の拡大に脅威を覚えて、迫害し始めたのです。また、中国国内では政府の「法輪功は邪教である」というデマが流されました。法輪功が臓器移植のために虐殺されていることは秘匿されています。私の報告書もインターネットがブロックされていますから、中国国民は知ることはできません。法輪功学習者は迫害されていることを知っていますが、それでも学習する人は絶えないそうです。   ―国際社会が臓器移植に反対する動きに対する中国の反応は? マタス 私たちの調査が出た時に、中国はほとんどの臓器は提供されたものであると回答しました。しかし、当時の中国には臓器提供、ドナーの制度はありませんでした。その後、中国は死刑囚の臓器を使っていると認めます。中国政府はその後、二〇一五年には死刑囚からの臓器は使わず、総て自主的提供者からのものだと発表しましたが、その数は移植手術数と大きく乖離しています。私たちの報告を中国は、単なる噂に過ぎないと否定しましたが、一つひとつ裏付け調査したもので口伝えのものは総て排除しています。また、証拠の数字は総て、この報告を否定している中国が発表したものです。中国政府の否定は全く辻褄が合わないのです。   ―この事実を突き止めた時は、どんな気持ちでしたか? マタス 背筋が凍る思いがしました。囚われて逃げ出すことができた法輪功の学習者にインタビューすると、収容中に定期的に血液、内臓検査を受けていたと異口同音に答えました。彼らにとって過酷な拷問に比べれば検査は苦ではなかったようです。この事実を知った時には、衝撃というよりも悲しい気持ちでした。ユダヤ人である私は、弁護士としてナチスのホロコーストの戦争犯罪人を追及する活動もやっていました。この体験から、人間の堕落には際限がないということを突きつけられました。本来人命を救うために開発された移植技術という最先端技術が、人命を奪うために使われてしまっています。中国が臓器移植を産業化して金儲けの道具に人命を簡単に奪ってしまう。移植手術を開発した人たちは、まさかこうしたことに使われるとは想像もしなかったでしょう。将来こうしたことに使われないよう歯止めをかけておくべきでした。   ―アインシュタインも自分の理論が大量殺戮兵器になるとは思わなかったでしょう。 マタス アインシュタインはまさか残虐な兵器に利用されるとは露とも思わなかったでしょう。アインシュタインは元々時計の技術士でした。自分が考えた理論が悪用されることが分かっていたら、時計の技術士のままだったでしょう。広島・長崎への原爆投下は確かにショッキングな出来事ですが、明らかに目に見える証拠があります。しかし、手術室という密室で行われる臓器移植は闇に包まれていて、中国政府は否定していますから、それを実証するのはかなり困難でした。人類はこれまで様々な悪行を重ねてきましたが、これほど邪悪な悪行はありません。中国の臓器移植はホロコーストよりも性質が悪い、人類史上最悪の虐殺だと思います。ホロコーストには、ユダヤ人への妬み、憎しみ、嫌悪などの人間的な感情がありました。しかし、中国の臓器移植は単に金儲けのために殺人が行われているのです。人間的な感情が全くない、国家的な犯罪なのです。   犠牲者は法輪功、新疆ウィグルなど無実の人々   ―中国の臓器移植のやり方ですが、ドナーを脳死状態にするのですか? マタス ドナーという言葉は正確ではありません。臓器提供を望んでいるわけでなく、強制的に抜取られているわけですから。臓器を取られる人たちは脳死状態にされるのではなく、麻酔をかけられ生きたまま手術されます。臓器を取られているのは無実の人々です。莫大な数の法輪功学習者や新疆ウィグルの独立運動家など政治犯がその犠牲になっています。   ―国家による殺人ですね。こうした中国の暴虐に対して世界各国の反応は?…

共産党と法輪功:衝突するアイデンティティ

共産党と法輪功:衝突するアイデンティティ   デービッド・マタス   (2017年7月5日、英国ブライトンでのInternational Academic Forumで発表された所見)   なぜ純粋で罪のない人々、法輪功の気功をする学習者が、中国国内で臓器のために殺されているのでしょうか。共産党と法輪功という二つのアイデンティティにこの悲劇をもたらした根本的な要因があるのです。我々が対応しているのはただの残虐主義ではなく、アイデンティティの衝突なのです。   この運命は法輪功学習者のせいでもあると示唆しているわけではありません。他の犠牲者と同様、法輪功学習者は無実なのですから。   法輪功の犠牲化を説明するには、加害者に焦点をあてる必要があります。犠牲化においてその犠牲者を責めることは、現実的でなく不条理なことです。加害者が、法輪功学習者を選んで犠牲化していることから加害者の本質を知ることが出来ます。   犠牲者を理解するためには、その脆弱性を知ることが重要です。法輪功は脆弱なため、中国共産党の最も邪悪な要素の標的になりやすいのです。   ここでは、中国共産党というアイデンティティの様々な側面を通して、共産党がいかに法輪功の弱みにつけこんでいるかを示していきます。私が焦点をあてる側面とは、信仰への不寛容、管理への執念、モダニズム、物質至上主義、残虐行為、機密性、プロパガンダ、不安、忠誠心の強要、道具化です。   信仰への寛容の欠如   宗教を見下すことは党文化の要素の一つです。共産主義者は無神論者です。しかしそれ以上に、共産党は信仰心のある人を愚か者だと軽蔑します。カール・マルクスは「宗教は大衆の麻薬」としています。   共産党の教義では、宗教とは「迫害者が抑圧者に課す苦痛をやわらげる目的で投薬される麻薬である」としています。宗教、つまり来世における幸福への信念を通して、抑圧された人々は現世における苦しみから癒されるという意味です。   理想的に機能している共産主義社会に宗教は存在しません。共産主義とは経済的抑圧を取り除くことが目的です。その苦痛を忘れるためのアヘンは不要なのです。共産主義社会での宗教の存在は、共産主義の失敗を受け入れたことを意味するのです。   アヘンは何もないところから現れるわけではなく、密売者が、アヘンを求め続ける中毒者を生み出し、完全に掌握する目的で売られます。宗教に対しても共産党はこのように分析しています。   中国共産党の法輪功に対するプロパガンダの一部は法輪功創始者の李洪志氏に対する激しい非難です。共産党は李氏を「人々をペテンにかけ…致死的な」ことに従事する「カルトの教祖」であり、自身を「神」と崇めさせるとしています。李氏は悪質に人々を誤導し、中国国内でトラブルを起こすよう外国人(おそらく私も含まれるのでしょう)をけしかけているというのが共産党の見解です。   当然のことながら、法輪功学習者はこれらの非難を心外と受け止めます。しかし、法輪功の非難ではありますが、個人攻撃ではないのです。多様な宗教に対する共産党の日常的なプロパガンダであり、精神性全般に対する共産党の典型的な立場と言えましょう。   共産主義は精神性を全く理解せず、単に物質的な価値でとらえます。つまり、共産主義者の目には、精神性の指導者が尊敬され崇められていると映ります。騙されていると思います。敬意を払わせるものを一切理解せず、宗教指導者が信者を何らかの形でペテンにかけ敬意を払わせていると見るのです。   管理支配への根深い執念   共産党文化の二つ目の要素は管理への執念です。どの政党も権力は望みます。でなければ政党として成立しませんから。   しかし共産党のこの「管理支配」への執念は度を越えています。中国憲法からうかがい知ることができます。   中国憲法の序文では「毛沢東首席を指導者とする中国共産党が率いるあらゆる国籍の中国人民」そして「中国共産党及びマルクス・レーニン主義、毛沢東思想の指導のもとのあらゆる国籍の中国人民」「中国共産党の指導のもと、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論および重要な三つの代表の思想」が言及されています。「三つの代表」とはこれまでの中国共産党指導者と江沢民国家主席が書いた党規約の名称です。   さらに、序文は「中国共産党の指導により幅広く統一された愛国心の前線」を加え、「中国共産党の指導下における多党政党制度と政治協議は…」と続きます。   読み手が忘れることのないように、中国憲法は「中国共産党の指導」を五回も繰り返しています。見逃すことは不可能です。   この指導権は単に助言や模範を示すものではありません。中国が独裁国家であることは憲法で定められています。   中国憲法の序文で「労働者と農民の同盟を基盤とする労働者階級が率いる人民民主主義独裁(つまりプロレタリアによる独裁)の国家が結成され発展した」とも記されています。加えて、「あらゆる国籍の中国人民は、人民の民主的な独裁政権に今後も従うものとする」とも加えられています。   憲法第1条:「中華人民共和国は労働者階級が領導し、労農同盟を基礎とする人民民主独裁の社会主義国家である」、憲法第3条:「中華人民共和国の国家機構は、民主中央政権制の原則を実行する」と記されているのです。   中国憲法は中国が独裁国家である旨を3度主張し、その中核となる規則を強調するために別の言い方でも表現しています。中国の独裁政権は、邪悪な支配者の気まぐれではなく、法体制なのです。   中国憲法は宗教の自由を含んだ人権の文言をいくつも明記しています。しかし、法的文書は、全体として理解しなければなりません。中国憲法に記載されている「宗教の自由」の保障は制限付で説明されており、中国共産党の独裁政権が指導する下での「宗教の自由」がその中核にあります。…

倫理基準と中国での臓器移植濫用

    倫理基準と中国での臓器移植濫用 (2016年4月15日、アリゾナ大学医学部 生命倫理・医療人文学科での プレゼンテーションを改訂した所見) デービッド・マタス   中国での臓器移植濫用に該当する証拠をすべて確認し、情報に基づいた結論を導くことは、時間のかかる作業であり、この問題に関心を抱く者全てがこのような作業に携わることを期待することは現実的ではない。しかし、時間もなくこの問題の解決に傾倒しない者は、何もしなくてもよいというわけではない。   良心の囚人、主に法輪功の煉功に基づく精神修養を行う人々が臓器のために殺害されていることを、ここで私が示す義務はない。移植の臓器源を説明する必要はない。中国が法輪功から臓器を収奪している事実は明白だからだ。   臓器のために法輪功が殺害されているという、私や他の調査者が出した結論は、数字だけに基づくものではない。あらゆる証拠をすべて突き合わせ、数多くの追跡された証拠に基づいて導き出された結論である。   この結論が出された基盤の1つとして、法的にも倫理的にも、濫用の予防措置が中国にも国外にも存在しないという事実がある。中国は、臓器の販売、看守による囚人の非人間化が生み出す大量の臓器源から大金を儲けているが、この非倫理的な行動を予防する措置はない。これらの要素の組み合わせが、移植濫用の温床を生み出した。   臓器のために法輪功が殺害されていることを結論づけた2006年のデービッド・キルガーと私の報告書の発表以来、医療界では、国際的にも、また様々な国の中でも、国外で中国の移植濫用の共犯とならないように倫理基準が導入されてきた。これらの基準はアリゾナ州や他の地区でもより包括的に採択されるべきである。   ここでは法規でなく医療倫理基準のみを取り上げる。議会が倫理基準を法規化した国もある。法の制定は必要不可欠であるが、移植濫用の予防措置は立法者のみに任せてはおけない。倫理基準は医師の責務であり、法の有無に関わらず、これらの基準を採用し施行すべきである。   参照すべき国際基準として、下記の医療基準が挙げられる:   ・国際移植学会の使命(Mission Statement) ・国際移植学会倫理委員会方針声明(Policy Statement)―中国臓器移植プログラム(2006年11月付け) ・臓器売買および移植ツーリズムに関するイスタンブール宣言(2008年5月付け) ・世界保健機関(WHO)人の細胞・組織・臓器の移植に関する指針(2008年5月付け) ・世界医師会(WMA)臓器・組織提供に関する声明(2012年10月)   国家レベルで下記の基準が挙げられる: ・香港:香港で登録された医師のための行動規範の指導要綱、香港医務委員会(2000年11月改訂) ・台湾:国外での台湾人のための臓器移植手術の仲買業に関する医師・その他の医療スタッフのための倫理基準(2006年8月) ・オーストラリア:中国人の外科医に対する移植手術技術養成に関する主要移植病院の指針(クイーンズランド2006年12月;ニューサウスウェールズ2013年1月) ・カナダ:臓器売買と移植ツーリズムに関するカナダ移植学会、カナダ腎臓学会の指針声明(2010年10月)[1] ・マレーシア:商業ベースで渡航移植したマレーシア人に対する官営病院からの免疫抑制剤供給に関する方針(2011年10月)   上記より、35の倫理に関する理念を抜き出した。これらの指針は、地区、地域、国家、国際すべての医療機関が採用すべきだ。アリゾナの移植医にはこれらの倫理を採用し、国家レベル、国際レベルでも採用されるようにはたらきかけて欲しい。     政策・指針に関して   1. 国家、地域の医療機関や学会全てが、囚人からの臓器源の点も盛り込んだ、臨床移植手術に関する倫理指針を書面として発展させる必要がある(国際移植学会の指針)。アリゾナの医療局には現在このような指針は存在しないが、設けるべきである。     臓器源に関して   2. 囚人からの臓器または組織の摘出において、そのような摘出、共犯がなされるべきではない。(国際移植学会、世界医師会)     移植ツーリズムに関して   イスタンブール宣言には下記の定義がある:…

中国での臓器移植濫用への認識を日本に広める

中国での臓器移植濫用への認識を日本に広める
(2017年6月14日 逗子文化プラザ市民交流センターでのスピーチ 改訂版)
デービッド・マタス
 

人権運動は、人権侵害があるという知識があって初めて成り立ちます。人権侵害の存在が知られていない場合は、反対しようがありません。

抑圧的な政権による人権侵害を外部に伝えることは容易ではありません。弾圧者は犯罪を否定し隠ぺいします。犠牲者を中傷し、地政学的な権力を用いて相手の口を封じます。

外部者は、自分の周囲のことに目を向け、遠方の出来事にはほとんど注意を払いません。また、注意を払おうと思っても、犯罪実行者による否定、隠ぺい、偽装、威嚇で阻まれてしまいます。

外部者が人権侵害に立ち向かうことは何よりも大切なことです。最も抑圧的な政権下にいる者に、人権侵害への苦闘をリードしてもらうことは現実的ではありません。身の危険を顧みずに戦う者は賞賛に値しますが、誰もがこのようなリスクを負うことを期待すべきではありません。

人権のメッセージを伝えることは、言語、文化、民族、宗教、地理的な分け隔てに橋を渡すことです。特定の人権侵害への反対運動を犠牲者グループのみに限定してしまうと、人権の普遍的なメッセージは失われてしまいます。

外部者が人権侵害を取り上げることは一般に難しく、あらゆる人権侵害にあてはまることでもあります。移植臓器のために無実の囚人(主に精神修養の法輪功学習者、さらにウイグル人、チベット人、一部の家庭教会の信者)が殺害されていることへの認識を日本国内で高めようとする場合、その難しさは倍増します。

日本は中国での臓器移植濫用を停止することはできません。中国人のみができることです。しかし、日本は中国での臓器移植濫用への加担を停止することはできます。現在の日本は、加担を回避するためにできること全てを行っている状況にはありません。

 

報道の欠如

人権侵害に立ち向かうためには、侵害についての認識が欠かせません。日本が中国での臓器移植濫用への加担を回避する行動をとらない理由の1つに、濫用への認識欠如が挙げられます。

日本特有の問題として「日中記者交換協定」が挙げられます。この協定は1964年に締結され1968年に更新されたものです。1968年の合意は会談メモに記載された方針に基づくものでした。会談メモでは政治三原則を確認しています。原則の1つは中国に非友好的な態度を取らないことです。日本のメディアは、この原則に合意しなければ、中国に事務所を設置して記者を送り込むことは許されませんでした。

記者交換協定は日中貿易の取極めを基盤とするもので、1973年に失効しています。日本外務省によると、1974年1月5日、これに代わる記者交換の取極めを締結していますが、この取極めの文書は一般に公開されていません。

1974年の取極めが公表されていないため、中国に対して非友好的な記事を発行してはならない義務が今日まで続いているかは定かではありません。続いているとしたら、記者ではなく発行者に義務付けられていることが考えられます。記者は好きなことを書けますが、発行者はそれを報道する必要はありません。この場合、なぜ記者に記事を報道しないのかを説明する必要もありません。1974年の取極めのために、中国を批判する記事を発行者はボツにしているかもしれません。しかし記者がこの事実を知っているとは限りません。

中国に対して非友好的な報道はしないという1974年以前の義務が、形式上、継続しなかったとしても、その精神は受け継がれました。数少ない例外を除いて、中国共産党が反中と捉える内容の報道は避けるという精神が日本のメディアに浸透しているようです。

中国共産党は自己を中国とみなし、党への批判があれば、はばからずに反中というレッテルを貼ります。臓器移植濫用の調査には、このようなレッテルが貼られてきました。

国家が組織化する中国での移植濫用に関する証拠は、党に悪いイメージを与えます。党にとってこれが一番重要な点です。その結果、日本では中国での臓器移植濫用に関する記事は、ほとんど存在しません。

「日中記者交換協定」の目的は、日中親善にありました。しかし、真の友人とは真実を語る者です。中国での人権侵害を隠ぺいすることは、民主主義国家が行うべきことではありません。このような記者交換協定を締結することなく中国と友好関係にある国は数多くあります。

中国にいる人々を支援する報道、つまり中国にいる無実の人々の殺害停止を助けることは、中国批判ではありません。中国での無実の者の殺害に無関心でいることや、沈黙を守ることこそ、真の中国への敵視につながるのです。

 

倫理指針の見直しの必要性

日本での一般の認識を高める上でのもう一つの障碍として、日本移植学会の倫理指針が打ち出している範囲が狭いことも挙げられます。中国における臓器移植濫用を伝える先として、移植医が考えられます。

警告する日本の医師もいますが、系統的に統合された警告ではありません。

日本移植学会の倫理指針は、臓器の売買、囚人からの臓器の利用は禁じていますが、患者へのカウンセリングや、中国に移植に行ったら無実の者が臓器のために殺害される事実をアドバイスの内容として盛り込んでいません。

中国に渡航する可能性のある移植患者は、まず日本の医師にかかります。中国での移植濫用について、このような患者への警告を義務付ける倫理基準が求められます。

カナダ移植学会およびカナダ腎臓学会の臓器売買および移植ツーリズムに関する指針声明には下記が記載されています。
「医師は患者を擁護する義務がある。医療コミュニティーの一員として、他の個人が傷つくことを防ぐ義務もある。移植ツーリズムは臓器提供者を害し…臓器は強制的に摘出され、個人が臓器のために殺害される可能性を、患者に教えるべきである。」

日本移植学会も同様の方針が必要です。

 

報告の義務付けの欠如

日本での認識を高める上で3つめの障碍が、統計情報の欠如です。日本人の患者が中国に臓器移植に行ったという個々の事例は耳にはしますが、何人が行っているのでしょうか? 日本政府はこの情報を収集していません。医師も収集していません。

悪循環に陥っています。問題の波及範囲に対する一般認識の欠如は、何もしないことにつながり、波及範囲の追求についても何もしなくなっている状況です。

日本の医師による厚生機関への渡航移植に関する報告の義務付けが日本には必要です。自主的な報告制度を提案する者もいますが、効果はあまり見込めません。効果があるのならすでに確立されていることでしょう。患者の個人情報の開示はせずに、中国への移植ツーリズムの総計数だけでも収集されれば有益です。

 

市議会による意見書の動き

中国での臓器移植濫用を人々に伝える形態の1つとして、この濫用に焦点をあてた市議会による意見書があります。中国国外の市議会が中国国内の臓器移植濫用を停止することはできませんが、意見書は中国で問題があるというメッセージを伝える助けになります。日本のメディアによる自主報道規制を迂回する助けにもなります。

2016年6月、鎌倉市議会は中国政府が人権を向上させることを促す意見書を通過させました。人権侵害のリストの中には「国家による法輪功学習者からの強制臓器摘出」が記載されています。

鎌倉市は中国の臓器移植濫用を停止することはできません。しかし一般の認識を高めることはできます。意見書はこの一助になるのです。

意見書が鎌倉市議会から出たことは偶然とは思えません。鎌倉は杉原千畝が最後に居住し、永眠する場所でもあるのです。

杉原千畝は第二次世界大戦中、リトアニアのカウナスで日本総領事を務めていました。ソ連がリトアニアを侵略し、全ての大使館の国外撤去を指示しました。オランダ政府はカウナスのユダヤ人難民に対し、キュラソー島とオランダ領ギアナ(現在のスリナム)への亡命許可を認めていました。そこに向かうにはソ連と日本を通過しなければなりません。ソ連は認めましたが、日本政府は杉原の要請に対して幾度も拒み続けました。

リトアニアから退去するまでに残された数日間、杉原は目覚めている時間全てを日本へのビザの発行に費やしました。その数は数千におよびました。このため、6000人がホロコーストから逃れることができました。しかし、杉原はこの行為のため、戦後、外務省を退官させられ、外交官としての道は閉ざされます。

杉原は最終的に神奈川県の藤沢市に落ち着き、1985年、イスラエルの「ヤド・ヴァシェム賞」を受けました。翌年、鎌倉で永眠しました。

鎌倉には杉原千畝の精神が浸透しているようです。人道の手本、日本の手本です。彼が居住した区域や息をひきとった場所に限られることなく、杉原千畝および鎌倉の手本が日本国全体に広がることを願います。

中国の移植医と保健担当官の招聘・訪問についての所見

日本向けに特別に書き直された原稿です。   中国の移植医と保健担当官の 招聘・訪問についての所見 デービッド・マタス   中国の移植医や保健担当官は、国際的なつながりや協力体制を確立し維持していくことに尽力してきました。彼らは、日本での会議に参席し、日本の大学で講演し、日本の病院と協力してきました。また彼らは、日本の移植医や保健担当官が中国での会議に参席し、中国の大学で講演し、中国の病院と協力するように、招いています。 中国の移植医・保健業務に携わる者は、これらのつながりを利用して、臓器移植濫用が続けられているという証拠を否定してきました。自分たちが否定する証拠に直面したり回答したりしなくてよい場を設定しています。 多くの人々がこのような一方的なもてなしに異議を唱えています。これらの異議に対して、一方的なイベントは次々と正当化されています。彼らの主張する正当性に対する所見を述べたいと思います。   1) 彼らの主張する正当性 学術的なイベントを意図して主催している。中国の保健担当官や移植医は、現在のデータや現在の経験に基づく学術的なプレゼンテーションを行っている。 私の見解 中国共産党は積極的にとりつくろいます。無実の人々の血糊に染まった手を、国外の無実の人々をだますことで洗おうとします。中国の移植医と保健担当官は、長年に渡り中国共産党のプロパガンダを作り上げ、繰り返してきました。プロパガンダが変わると、自分の意見も都合の良い方向に変えるため、発言も矛盾しています。中国人が招く人(ゲスト)や中国人を招く人(ホスト)がこのプロパガンダの形成に積極的に関わるのなら、学術的なイベントとは言えません。   2) 彼らの主張する正当性 私のように臓器移植濫用を調査する者は、係争的で根拠のない政治的な主張をくりかえしている。 私の見解 中国共産党のスポークスパーソンが、国外のホストやゲストは学術的で、真面目に学術調査を行ってきた者を政治的な根拠のない主張をするだけと片付けることは、現実を否定することになります。私や他の者による調査の学術性は、抄録の検討後に受け入れられる幅広い学術会議での発表が受け入れられている事実、刊行物、大学での講義の招聘からも示されます。 私たちの調査には政治的な動機づけがあるという国外のホストやゲストの主張は、中国共産党のプロパガンダと重なります。また、中国共産党も、臓器移植濫用への批判には法輪功の政治的な動機があると語ります。 法輪功の学習者が、中国で自らが対象となっている人権侵害に反対することは事実です。しかし、人権は政治的なものではなく、普遍的なものです。   3) 彼らの主張する正当性 中国で無実の良心の囚人が臓器のために殺害されていることを懸念する者は、EU議会や2016年6月の米公聴会のような中国を譴責する政治的イベントに参加している。 私の見解 いうまでもなく、中国での移植濫用に関する私どものような独立調査に関心を寄せる政治家も、数は限られていますが存在します。これらの政治家が関心を寄せていることが我々の活動を政治的なものにすることはありません。   4) 彼らの主張する正当性 国外のイベントに招かれたり、国内のイベントを主催する中国の高官や専門医は、制度の改革に努めている。 私の見解 証拠を提示することなく、明らかに政治的な意図から、中国共産党は我々の調査の帰結を拒絶しています。しかし結論にいたるまでの証拠はほとんど中国の公式データを基盤としています。例えば2016年の報告書に記載した2400の注釈のうち、2200は中国政府による公式数値をもとにしています。 中国政府の声明に示されている、中国のホストやゲストが中国での臓器移植濫用に関与している事実は、深い問題です。例えば、黄潔夫・元衛生副部長がフェニックス・テレビでインタビューされたときの抜粋が、ifeng.comに2015年1月に下記のようにポスティングされました。 「記者:処刑された囚人から臓器を摘出した経験はおありですか? 黄:一度、行ったことがあります。摘出はしませんでした。それ以降は行きたいとは思いませんでした。私は医師です。生命を尊重し、患者を助けることが、医師の道徳の最低基準です。聖なる場所で行なわれるべきことです。そうでなければ、医師としての最低の道徳基準に反します。 記者:何年のことですか? 黄:1994年です。 記者:ヒトの臓器移植を行った最初の年ですか? 黄:そうです。移植チームは2つに分かれています。臓器を摘出するドナー・チームと、臓器を移植するレシピエント・チームです。 記者:黄先生は? 黄:私はレシピエント・チームです。ドナー・チームに入ったことはありません。しかしどのように行なわれるのかを学び取るため、一度見学しました。この一度を体験して以来、ドナー・チームとは関わりたくないと思いました。しかし、変革の必要性は感じています」 犯罪法ではこのような行動を指す「故意の無知」という用語があります。悪事を犯した者が故意に無知であったとしても、十分な知識をもって悪事を犯した者と同様に罪があるとするものです。 黄潔夫は、どうしようもないと感じたと言っていますが、実際は、不当に入手した臓器を使う移植手術に「参加しない」ということができたはずです。黄が「ドナー・チームとは今後関わりたくない」と思ったのならば、移植をやめるべきでした。ドナー・チームからの臓器を利用しているのに、ドナー・チームとは関わっていないという観念自体が、幻想です。 臓器狩りが医師としての道徳の最低基準に反するのであれば(そして黄潔夫は認めています)、不当に入手した臓器を用いる移植手術も医師の道徳の最低基準に反するものです。不当に臓器を摘出することにも、移植医が不適切であると知りながら、あるいは故意に知らないようにしながら、移植手術を行うことにも、道徳の面では何の違いもありません。   5) 彼らの主張する正当性 国外の移植医のホストは医師としての同僚であり、敬意を払って招き返すべきである。 私の見解 移植医と臓器移植濫用の調査者が、中国での臓器移植濫用問題を提起することで、異なる専門家が異なる視点を交換できます。 私は移植技術の知識があるふりはしません。たとえ許可されても、手術室に入って移植手術を試みようとは夢にも思いません。試そうとしたら手術はめちゃくちゃになり、患者の生命を危機にさらすことでしょう。しかし、私は人権侵害全般、そして特に中国での人権侵害問題の扱いに幅広い経験を備えています 人権は全人類に属する権利です。この権利は全ての人々が主張すべきものです。しかしながら、人権には専門知識というものがあります。国際人権法の知識、人権侵害者の言説・行動パターンの熟知、歴史からの教訓などです。人権の専門知識や経験のない者が人権について知っていると思い人権問題を率いることは、私を手術室に入れた場合に生命が危険にさらされるように、危険なことです。   6) 彼らの主張する正当性 国外の移植医のホスト・ゲストも、臓器移植濫用の調査者も、目標は同じだ。中国で処刑された者の臓器を用いることを止めることだ。 私の見解 私の目標は下記の三点において、ここで提示された目標を超えるものです。…

デービッド・マタス氏

中国での移植手術の濫用と日本との関わり    2016年12月1日

中国での臓器移植と日本との関わり 参議院議員会館での報告のための所見(改訂版) デービッド・マタス   『最新報告書』   デービッド・キルガー氏と私、そして私たちとは別に調査を進めたイーサン・ガットマン氏は、調査の結果、移植患者に臓器を売るために良心の囚人(主に法輪功の煉功をする人々、そしてウイグル人、チベット人、東方閃電家庭教会)が殺害されてきたという結論に達した。これらの調査では、中国が公式に発表した移植件数を額面通りに受け取り、この断言された数値に見合う臓器源を見出すことに焦点を絞った。   しかし、中国政府による臓器移植件数の統計は必ずしも信頼できるとはいえない。中国の移植件数の確定は、これまでなされるべきであったが、今回の調査を通してようやく行われた。   我々三人は、2016年6月、臓器移植件数に焦点をあてて、中国での移植手術の濫用に関するこれまでの調査を更新した。この『最新報告書』は我々の共同ホームページ endorganpillaging.org から発表されている。報告書は680ページ、脚注は2400にのぼる。移植手術が行われている個々の病院のデータに病院ごとにあたっていき、累積し、独自の結論を出したため、これほどの量となった。   中国共産党にとって、統計とは政略の一手段である。政治的目的に見合う統計値は正確なものとなる。   臓器移植の統計値には、共産党制度にとって相容れぬ2つの政治的要素が絡む。1つは、移植技術がどれだけ進んでいるかを示すために、数字を拡張させるという発想だ。もう1つは、臓器源に対する疑惑を起こさせないように数字を抑えようとするものである。   当初は1つ目の発想が優勢で、説明のつかない大量の移植件数が生み出された。その後、このように自慢することは政治的な問題を引き起こすことに中国共産党政権は気がついた。臓器源に対する疑惑が浮上するからだ。当時はドナー制度も国内での臓器分配制度もなく、自分たちの生み出した数字に対する言い訳が存在しなかった。数字が問題であることに気づいた時点で、移植件数は年間1万件という数値から横ばいとなる。   個々の病院では、少なくとも今日まで、国際的に正確な臓器件数が注視されなかったため、臓器源の説明にはあまり気を遣っていない。個々の病院の移植件数を総計したところ、国家制度の発表した数字を大幅に上回る結果が出た。   しかし、この地域レベルの数字は、国家レベルの政治的配慮とは異なる理由で、客引きのためにごまかした数字かもしれない。この可能性に対処するために、一つひとつの病院をあたり、病院が主張する移植件数以外の広域にわたる様々な要素を検討した。   病床数、職員数、利用率にも目を向けた。助成金と賞与金にもあたった。賞与金に関する引用や賞与金の受入れの際に数値が言及される場合がある。助成金では事業計画の数値に言及されることがある。刊行物、ニュースレターや研究書にも目を向けた。抗拒絶反応剤の使用量もチェックした。患者になる可能性がある人々、移植件数の成長率、技術開発、メディア報道も見ていった。   各病院の移植件数を割り出す上で一つの証拠に頼ることはなかった。過去の調査同様、すべてのデータを検討するまではどのような結論も控えた。すべての要素を合わせて検討することで、これらのデータは一様に、中国での臓器移植件数は公式の国家発表の数字より遥かに多いということを示した。   加算・乗算して合計を算出した。肝移植、腎移植を公的に認められた病院という小グループに焦点を絞った。   2006年 6月27日、中国衛生部は「肝臓、腎臓、心臓、肺移植の許容量に関する管理と規則に関する通知」を発行し、臓器移植を行う医療機関に下記の条件を課した。 ・肝臓               移植専用:15病床     ICU用:10病床以上     合計:25病床 ・腎臓               移植専用:20病床     ICU用:10病床以上     合計:30病床 ・肝臓と腎臓     移植専用:35病床     ICU用:20病床以上     合計:55病床   21の肝移植病院、65の腎移植病院、60の肝腎移植を併合する病院があり、合計146の病院が移植手術を認可されている。これらの病院の調査を通して、利用率100%を越え、移植手術のウェイティング・リストがかなり長い病院など、設備不足が蔓延していることが判明した。中国政府による169から300への認定病院数の拡張計画から、現在の制度の許容量は需要に追いついていないことを示している。   146の病院の移植件数を一軒一軒加算していった。移植病院と認定されるための最低の病床数と職員数を乗算したものと照合し、各病院の移植件数の確認をとった。利用率は100%とし、平均入院期間も仮定した。   このように算出することで、中国政府が公式に発表する年間移植件数1万件は否定された。中国での移植件数は年間6万件から10万件と推定し、高い数値の方を強調したい。   年間の移植件数が1万件であっても、臓器のほとんどは良心の囚人(主に法輪功学習者)から来るものだと思われる。年間1万件の数値に対して、中国政府はすべての臓器は自主的な提供であるとしているが、実証可能な数値の裏付けはなく、受け入れがたい主張である。   中国での実際の年間移植件数6万件から10万件は、良心の囚人が臓器源であることを語っている。中国政府でさえも、他の説明を提供していない。  …